【Z900RS】リンク周りメンテ完全版|分解・洗浄・グリスアップの全手順
本記事は僕の実作業をもとにした内容ですが、作業はすべて自己責任でお願いします。
足回り整備は重大事故につながる可能性があります。
不安があるときは無理せずバイクショップへ相談してください。
普段あまり分解する事のないリンクプレート周り。
リンクプレートの交換ついでに、せっかくだからメンテナンスしてみてはどうでしょうか?
リンクプレートを支えている
①リンクロッド
②ロッカアーム部のベアリング部分
のメンテナンス方法を記事にしました。
この記事でわかる事👇️
・リンクロッドの取り外し手順
・リンクロッド、ロッカアーム(スイングアーム側のリンク支点)のメンテナンス方法
・リンク周りの部品構造・部品の役割(ベアリング/カラー/グリスシール)
・各部品の洗浄方法
・各部品のグリスアップの適量
・各部品の点検基準(再利用可能か?)
リンクロッド取り外し手順
本記事ではリンクプレート取り外し後からの、リンクロッド取り外し作業から進めます。
※リンクプレートの取り外しまでは、こちらの記事で詳しく解説しています。

リンクプレートを取り外した状態からスタートします。


OverRacingのバックステップの場合は、
ステップ取り外しなしでボルトとナットにアクセス出来ました。
右側はエクステンションバーを使用し、
左側は長いタイプの14mmソケットで外せます。
両側どちらもリンクプレートと同じく14mmのソケットを使用します。
※純正の場合は、もしかしたら干渉するかもしれません。
その場合ステップを取り外して作業してください。
ここのボルトを外せばリンクロッドが取り外せます。

リンクロッドの構造について|リンク周りは「ベアリング+カラー+グリスシール」の3点セットです
リンクロッドを外すと、中からいくつか部品が出てきます。
いったんシンプルに整理します。
リンク周り(リンクロッド付近)は、基本的に次の3つがセットで動いています。
- ニードルベアリング(細い針が並んだベアリング)
- カラー(スリーブ)(ベアリングの中に入る筒)
- グリスシール(ダストシール)(両端に付くゴムのフタ)
この3つがそろって、リンクがスムーズに動く仕組みです。
ニードルベアリングって何?
ニードルベアリングは細いローラー(針みたいな形)が並んでいて、
大きな荷重を支えるのが得意なベアリングです。
リンク周りみたいに力がかかる場所でよく使われます。
またベアリングは圧入されているため、
プレス機や治具がないと取り外しは困難です。
リンクロッドやロッカーアーム部分から外さないでメンテナンスします。
ニードルを束ねている“ケージ”には樹脂製と金属製があります。
Z900RSの純正で使われているのは樹脂ケージでしたが、AELLA車高調整リンクロッドは金属ケージでした。
基本的にどちらでもリンク用途としては問題なしです。

- 樹脂ケージ:樹脂でニードルを保持するタイプ
- 軽くて静音性が高いコスト安
- 金属ケージ:金属でニードルを保持するタイプ
- 変形しにくく、荷重・熱に強い
カラー(スリーブ)は何をしてるの?

カラー(スリーブ)はニードルベアリングの中心に入る筒です。
ここがポイントでニードルベアリングは
このカラーの外側(表面)を相手にして回転(または揺動)します。
なのでリンク周りは「ベアリングだけ」じゃなく、カラーの状態も大事です。
グリスシール(ダストシール)は何のため?

グリスシールはリンク周りの中に、
- 水
- 砂
- ほこり
が入り込むのを減らすための部品です。
シールはオイルを完全に密閉する部品ではなく
グリスを保持しつつ外からの汚れを防ぐ“フタ”の役割です。
洗浄編:ベアリング/スリーブ/グリスシールを洗浄します
各パーツの取り外し後はパーツクリーナー等で洗浄しますが注意事項があります。
ベアリング内部
- ベアリング
- 拭き取りメイン
- 注意事項あり
- 解説します
- スリーブ
- パーツクリーナーを吹きかけて
- 拭いて
- 乾燥させるだけ!簡単!
- グリスシール
- 拭き取りメイン
- 解説します
ベアリング洗浄の仕方
ベアリング、一見グリスもりもりでニードルが埋まってるように見えるのですが、
それは樹脂です。カラカラではないけど、バラしてみると本当うっっっすらしかグリスが塗布されてません。

ベアリングにパーツクリーナーをぶっかけて洗浄したら、
樹脂の部分が白くピラピラとめくれて皮向けを起こしてしまいました。
このまま再利用するのは怖かったので
カワサキプラザにリンクロッドを持ち込んで
ベアリングの交換をして貰いました。
ベアリング交換に行った時にカワサキプラザのメカニックさんに色々聞いてきました。
- 元々あまりグリスが入ってない(グリスアップの見出しで詳しく説明します)
- 洗浄するときはウエスや綿棒で拭き取り
- それか中性洗剤を使う
- 簡単に樹脂ケージは傷つくので優しく拭いて
- グリスリップ部も同じ
- ベアリングは洗浄後しっかりグリスアップ推奨
との事だったので、
僕はまずウエスや綿棒で目に見える汚れを拭き取るところから始めました。
金属ケージの方はパーツクリーナーで楽なんですが、樹脂ケージだと気を使います。
元々あまりグリスアップされてないのもあり、
僕の場合拭き取りだけで十分でした。
ゴムOKプラスチックセーフのパーツクリーナーをぶっかけて白くなってしまったので、
かけすぎなければ大丈夫かもしれないけど怖くて使用するのはやめました。
グリスシールの外し方・洗浄の仕方

※グリスシールはサービスマニュアルだと、取り外したら再利用せず新品と交換と記述されてます。
純正グリスシールは1個451円と安価&リア周りのメンテは多くても数年単位と考えて僕は全部新品に交換しました。(ロッカーアーム部も含めて合計6個=2706円)
せっかく「洗浄・グリスアップまでしたけどシール劣化で切れちゃいました」だと
勿体ないですよね。シールを新品にしておけば、数年持つと考えれば安いものです。
が、僕は一応何かに使えると思って取り外したシールは洗浄してから保管してあります。
グリスシールはピッタリくっついてるため、外す時に結構硬いです。
シールを外すツールもあるみたいですが、僕は今回は使わずに外しました。
グリスシールの中心部分はリップ部といって柔らかく傷つきやすいので、
リップ部は触らずに爪でゆっくり外側から持ち上げて外しました。
表面は乾いたウエスで、溝部分は綿棒で優しく拭き取ります。
点検編:交換すべき?再使用OK?(ベアリング/スリーブ/グリスシールの判断基準)
パーツの洗浄後に状態を確認し、
再利用できるかどうかチェックしていきます。
自分で取り外したパーツに当てはまっていないか確認してみましょう。
ベアリングの点検
サービスマニュアルにて、
👉️ニードルベアリング内のニードルは通常ごくわずかしか摩耗しないので、
摩耗してるか測定するのは難しい。なので測定じゃなくて、
ベアリングのここを点検します👇️
- 腐食・変色してないか
- ニードルが欠けてないか
- 樹脂ケージの損傷
これがあれば交換してくれとの事です。
また、点検のためにベアリングを取り外すのはNG。
外した場合は再使用せず新品を組んでねと書いてあります。
カワサキプラザにリンクロッドだけ持ち込みして、
1個のベアリング取り外し&打ち込みで工賃3300円
新品のベアリングは1個1408円で合計5000円いかないくらいでした。
カワサキ純正パーツはカワサキオンラインで買うと(4日以内発送)ですが、
カワサキプラザで買うと、土日祝除いて基本プラザに1日で届くようです。
新品のベアリングが店舗在庫があるor自分で持ち込みすれば、よっぽど忙しい日とかで無ければ数十分でやって頂けると思います。
僕の場合はカワサキプラザでベアリング取り寄せしてもらい、完成したら宅急便で家まで送って欲しいと頼んだら快く引き受けてくださいました。(平日取りに行けなくても安心!)

新品のベアリング↑
カラー(スリーブ)の点検

画像を見ていただくと、水色枠と赤枠があります。
どちらもカラーの傷なのですが、意味する情報は違います。
水色枠→カラーをベアリングに出し入れした時に出来た傷
赤枠→ニードルが当たった跡
水色枠・赤枠共通の点検方法
再使用OKの目安
- 指の腹でなぞっても引っかかりがない
- 爪を軽く当てても段差を感じない
- スムーズなツルっとした感触
交換を考えるサイン
- 爪がカリッと止まる段付き
- 触るとザラつく
- 明らかな点傷・打痕
- 変色や錆び
- 組んだときにガタやゴリ感
リング状の当たり跡は基本OK
スリーブの中央に、ニードルの位置に沿ったリング状の跡が出ていることがあります。
これはニードルが同じ位置で仕事をしている証拠で、ほとんどの場合は正常な摺動痕です。
- 均一な輪っか状
- 触っても段差なし
- 色が少し違うだけ
このレベルの跡は再使用されている例が多く、
僕のZからバラしたカラーも触感に問題がなかったため、そのまま組み付けました。
走行後も異音やガタは出ていません。
グリスシールの点検

まず見るのはリップ部と弾力です。
グリスシールで一番大事なのは、リップ部分が生きているかです。ここがスリーブにやさしく触れて、グリスを守る役目をしています。
再利用できる目安は次の3つです。
- リップに裂けや欠けがない
- 触るとゴムの弾力が残っている
- 形がゆがんでおらず、円の状態を保っている
僕のシールも、表面は汚れていましたが弾力はしっかり残っていて、形の崩れもありませんでした。この状態なら、無理に交換しなくても大丈夫なケースが多いです。
が!
性格上「数百円なら、あの時にやっとけばよかったか~?」と不安になってしまうため、
僕は新品に交換して安心を買いました。
少しでも気になる点があるなら、ここは新品買ってしまった方が良いです。
点検して使いまわし出来なさそうなら純正部品を取り寄せる
スリーブの部品番号:42036-1342
グリスシール部品番号:92049-1223
部品を点検してもダメそうなら、こちらの部品番号で調べると出てきますのでネットで購入するか、最寄りのカワサキプラザで購入してください。
※ベアリングは、大体の方が難しいと思うのでカワサキプラザにて部品購入&打ち込み作業をしてもらってください。
グリス選びの結論
リンク周りのグリスは種類が多くて迷いますが、整理すると必要なのは次の3つです。
- 耐水性:雨や洗車でも流れにくい
- 保持性:ニードルにしっかり残る
- 極圧性:リンクの大きな荷重に耐える
この条件を満たしていれば、まずリンク用途としては合格ラインだと考えています。
リンクロッド周辺におすすめのグリス|モリブデングリスの話
特に拘りがなければ使い道が多く安価で入手しやすい
DAYTONAの万能グリスがおすすめです。
汎用性が高いので一本持ってれば安心なグリスです。
僕も一番最初に買いました。
※このリンクはアフィリエイトリンクを使用しています。
ですがネットで調べると
「二硫化モリブデンはゴムや樹脂、アルミを削るからNG」
「二硫化モリブデンはバイクにはあまり使う所ない」
といっぱい出てきます。
でも、よーく調べると、
👉️ゴムに悪さをするのはモリブデンそのものじゃなく、
「基油(ベースオイル)・溶剤・添加剤」という事がわかりました。
なので、ここらへんの情報が混ざって半分嘘で半分本当だったり、
検索するたびに不安になる事が多いと思うので(僕はそうだった)、
この記事では、
もちろんリンク周りにも使える汎用性の高いDAYTONAの万能グリス(リチウムグリス)を推しておきます。
僕は「二硫化モリブデン」配合のアルミニウムコンプレックスグリスのEPグリス「プリマルーブ1号」を使っています。
グリスの成分や他製品との比較は話が長くなるので、詳しくはこちらでまとめています。


グリスアップ編:塗る場所は3か所
リンク周りのグリスアップで意識したのは、
「とにかくたくさん塗る」ではなく塗るべき場所に、適量を入れることです。
僕が意識したポイントは次の3か所でした。
ニードルベアリングのグリスアップ(樹脂/金属)

一番の主役はここです。ニードルが動く部分にグリスが行き渡るように塗ります。
- 上手く塗るポイントとしては👇️
- ニードル全体に薄く行き渡る量
- 隙間を埋めていくような、なじませる感覚
- ベアリングが見えなくなるほど盛りすぎない
僕はずっと「グリスは多いほど安心」と思っていたんですが、
会社の同僚に元メカニックの方がいて
「リンク周りは入れすぎると抵抗が増えて逆効果」
実際このくらいの量がいちばん動きも軽く、
シールにも優しいと教えていただきました。
- リンク周りのベアリングに盛り盛りでグリスを入れると👇️
- リンク周りは高速回転じゃなく揺動だから、余分なグリスは抵抗になる(動きが悪くなる)
- 押し出されたグリスでゴミを呼びやすい
- どのグリスでも、浸る量のグリスが樹脂やグリスシールに良い訳がない
グリス盛り盛りがいい場所と薄いほうが良い場所があるということですね。
リンク周りは薄い方が適しているが正解です。
カラー(スリーブ)のグリスアップ

カラーの中側は塗らずにカラー外側に薄く伸ばして塗ります。
ロッカーアーム部のカラーの側面(指で持ってる所)が少しサビていましたので、
ここは新品のカラーに交換しています。
側面の錆防止のため、グリスを触った手で満遍なく触るくらいの感じで薄い膜を作っておきました。
カラー側面はリンクプレートと接する場所なので、特に薄塗りです。
グリスシールのグリスアップ

グリスシールのグリスアップする場所は、リップ部(ピンク色)と、
リップとリップの間の溝(ピンク線の間)にグリスを塗ります。
リップ部にはうっすらテカるくらい薄く塗り、溝にはグリスが少し溜まる程度塗ります。
ベアリング打ち込みに行った時にカワサキプラザのメカニックさんに教えて頂きました。
- 💡シールにグリスアップする理由はリップの摩耗を減らすため
- シールのゴムリップはカラーと常にこすれている
- 乾いたままだと摩擦で削れて寿命が短くなる
- 薄くグリスを入れると潤滑膜がクッションになる
押し出たグリスは拭き取る&最終チェック
全てグリスアップが終わったら、
①グリスシールを装着してから
②カラーを挿入します。
ここが最終チェックポイントです。カラー挿入後、カラーを軽く回転させて、スムーズに動くか確認しましょう。

その時に余分なグリスが出てくるので綿棒で拭き取りましょう。


ロッカーアーム部もリンクロッドのベアリングと同じ構造なので、リンクロッドと同じようにメンテナンスします。
ですが、ベアリング内の拭き取りがしづらいので、樹脂ケージを傷つけないように気をつけながら綿棒やウエスで拭き取りすると良いです。
あと、シールを外す時に手を切りました(泣)のでお気をつけてください…
グリスシールの外側にグリスがついてたら汚れを拾いやすくなってしまうため、乾いたウエス等で拭き取ります。
組み付け編:仮締め→荷重をかけて→本締め
取り外しの時と同じように取り付けて行きます。
ここのボルトは平ワッシャーがついてるので忘れないようにします。
リンクプレートを支えてる3つのボルトとロックナットと同じ物が使われていますが、このリンクロッド下部を止めてるボルトだけ右側に平ワッシャーが入ってます。
※平ワッシャーには角が丸まってる面と、平らな面があります。
平らな方→リンクロッド側
丸まってる方→ボルト側
です。間違えないようにしましょう。

リンクプレートの時と同じで仮止めで止めておきます。
リンクプレートを取り付けてジャッキを外してからここのボルトも本締めします。
走行後チェック!
メンテナンス後は走ったあとの確認までセットでやります。
僕が実際に見たポイントをまとめます。
- 💡チェックポイント
- シール周りからにじみが増えていないか
- リンク付近に異音(ギシ・コキ)がないか
- 手で揺すってガタが出ていないか
この段階ではうっすらグリスが見える程度なら想定内です。
逆にダラッと垂れるほど出ている場合は塗りすぎかシールの状態を見直します。
まとめ
リンク周りのメンテは難しそうに見えますが、やることは意外とシンプルでした。
- 洗浄はパーツクリーナーより拭き取りメイン
- グリスは適量を守る
- スリーブの再使用判断は触感と動き
このポイントを守れば、初めてでも大きな失敗はしにくいと感じています。
リンクは普段目立たない場所ですが、
ここが気持ちよく動くとサスの動きや乗り味が素直になります。
リンクロッドやリンクプレート交換のついでに、一度メンテナンスしてみる価値は大きいです。
僕も今回の作業で構造やグリス、仕組みについて勉強出来ました。
この記事がリンクロッド周りのメンテナンスの役に立てたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!

